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東京地方裁判所 昭和55年(ワ)5837号 判決

原告

若月ユキ子

右訴訟代理人

吉田康俊

被告

岡田茂

右訴訟代理人

石田晴久

被告

鎌田忠彦

右訴訟代理人

勝山勝弘

小池通雄

主文

一  被告らは、原告に対し、各自金一一八万三六三一円及びこれに対する昭和五五年七月八日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告その余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告らの負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実《省略》

理由

一本件契約について

1(一)  原告と被告岡田との間で、昭和五三年一一月七日、被告岡田はその所有にかかる本件建物を本件土地の賃借権とともに代金二〇〇万円で原告に売り渡す旨の売買契約を締結し、同日原告が被告岡田に右代金を支払つたことは、当事者間に争がない。

(二)  〈証拠〉によると、右売買契約は、被告鎌田が、原告の経営するバーに顧客として出入りするうちに原告から居住用建物を安く入手する方法について相談をうけ、競売の予想される物件にあらかじめ居住しこれを競落すれば格安に建物を取得することができるという方法のあることを原告に説明し、その結果、後記(四)認定のように被告鎌田が代表者をしている訴外朝日宅建株式会社の仲介のもとに締結されるようになつたものであることが認められる。そして、〈証拠〉によれば、本件土地及び建物にはそれぞれ抵当権が設定されており近い将来抵当権実行による競売申立が予想されていたが、競売期日に第三者がこれを競落し原告が競落することができない場合もあることを考慮して、前記売買契約とともに原告と被告岡田との間において賃貸借契約を締結し、原告が競落することができなかつた場合には、右契約後三年間は短期賃借権によつて本件建物に居住することができるようにし、その場合には、売買代金を右契約時から三年間の家賃に充当する旨の合意をしたうえで、本件建物の三年間分の家賃に相当する金二〇〇万円をもつて売買代金と定めて前記売買契約が締結されたものであり、このような経緯から、原告は、右売買契約に基づく所有権移転取得登記をせず、本件建物についての賃借権設定仮登記を経由するにとどめたことが認められ〈る。〉

(三)  右(一)、(二)認定の事実によると、昭和五三年一一月七日原告と被告岡田間に締結された契約は単純な売買契約にとどまるものではなく、原告が本件建物を競落することができなくなつたことを解除条件とする本件建物及び本件土地の賃借権の売買契約と、原告が本件建物を競落することができなくなつたことを停止条件とし、期間を右契約時から満三年間、右期間の全賃料を二〇〇万円とする本件建物の賃貸借契約との複合した契約であつたというべきである(以下これを「本件契約」という。なお本件契約中売買契約部分のみを「本件売買契約」、また、賃貸借契約部分のみを「本件建物賃貸借契約」ということがある。)。そして、原告が請求原因第1項の(一)で主張する売買契約は、右の本件契約を指すものであると解される。

(四)  なお、〈証拠〉によれば、右売買契約を仲介したのは、被告鎌田個人ではなく同被告が代表者である朝日宅建株式会社であつたと認められ(原告と被告鎌田との間では同被告が同社の代表者であることは争がない。)〈る。〉また、〈証拠〉によれば、原告は、朝日宅建株式会社に仲介手数料として金一〇万円を支払つたものと認められ〈る。〉

2  〈証拠〉によれば、本件契約締結の際、被告岡田は、原告に対し、本件建物が将来抵当権の実行により任意競売される場合には原告がこれを競落することができるように積極的に協力すること及び本件物件が第三者によつて競落された場合には原告及び被告岡田が協議の上競落人に対抗する旨を特に約していた(以下「本件特約」という。)ことが認められる。

そして、本件契約は、前記1の(二)認定のような経緯と内容で締結されたものであり、本件建物を競落すること又は第三者である競落人に対し原告の賃借権を主張対抗して少なくとも三年間は原告が本件建物に居住することができるようにすることがその重要な目的となつていたと解されること、〈証拠〉によれば、原告は、女性であり、競売手続については全く知識がなくまた交渉ごとにも不馴れであつて、被告らの助力なしには、本件建物の競落はおぼつかなかつたものでありまた第三者が競落した場合の交渉にも不安があつたために、特に被告らに対し競落についての協力及び第三者に対する対抗措置を依頼し、被告らのこれに対する確約を信頼して本件契約締結に至つたものであることが認められ、右事実に〈証拠〉を総合すると、本件特約の趣旨(具体的内容)は、(一)裁判所から競売期日の通知が被告らに対してあつた時はこれを原告に知らせる、(二)原告が競落すべき時期について適切な助言を原告に与える、(三)原告の依頼により競売期日に原告とともに競売場に出頭し、原告の委任を受けて競買申出等の手続をする、(四)原告が本件建物を競落することができなかつた場合に備えて被告岡田と原告間に締結された本件建物賃借契約についてこれを明確にする契約書の作成、登記の経由等の措置をとり、これが競落人により争われたときは証人となる、(五)競落人より明渡しの請求があつた場合には交渉の衝にあたり、原告に短期賃借権のあることを主張して原告が居住を続けることができるようにするかあるいは原告が立ち退く場合には立退料等の交渉をする、ことをその主たる内容とするものであつたと認めるのが相当である。

3  〈証拠〉によれば、被告鎌田は契約書には立会人として署名押印をしているにすぎないことが認められるが、(一)前記認定のように被告鎌田は原告の経営するバーの顧客として原告方に出入りしているうちに建物を格安に購入する方法がないかどうかの相談をを受け、競売の予想される物件にあらかじめ居住しこれを競落すれば格安に取得することができると教えたことが契機となつて本件建物の売買契約が締結されるに至つたこと、〈証拠〉によれば、(二)原告は競売手続については全く知識がなく被告らの協力が必要であつたが、被告岡田とは本件建物の売買の際にはじめて知り合つたもので契約締結時まで二、三回しか会つておらず、原告は旧知の被告鎌田を信頼し本件契約締結に至つたものであること、(三)契約後の競落時期の助言も専ら被告鎌田を通じて行われているし、原告も専ら被告鎌田に相談していること、(四)被告鎌田は、本件土地及び建物について抵当権及び停止条件付賃借権の移転登記を受け(この事実は当事者間に争がない。)、原告の競落に協力する態勢をとつていることが認められ、これらの事実に原告及び被告岡田の各供述をあわせ考えると、被告鎌田も、本件契約締結の際、本件建物の競落に関する協力及び第三者が競落した場合の対抗についての前記2の被告岡田の特約に基づく義務と同一内容の義務を負うことを口頭で原告に約していたものと認めるのが相当である。〈反証排斥略〉

4  そして、右2の被告岡田の義務と3の被告鎌田の義務とは、その内容性質からみて連帯債務の関係に立つものと解すべきである。

二被告らの債務不履行と責任について

1(一)  原告が第一回の競売期日には競売場に出頭せず同期日には本件建物を競落する者がなかつたことは、当事者間に争がない。

〈証拠〉によると、右第一回競売期日に原告が競売場に出頭しなかつたのは、被告鎌田が第一回期日には競落する者はいないと思われるからもつと最低競売価格が下つてから競落したほうがよいと勧めたのでその助言に従つたためであつたと認められる。そして、〈証拠〉によると、第二回競売期日の通知があつたのち、被告岡田は、被告鎌田に対しては第二回期日には競売場に出頭して競落してはどうかと再三電話して勧めたが原告に対しては直接その旨の助言をしなかつたこと、被告鎌田は、右被告岡田の意見を聞いてはいたが、原告に対しては、第二回競売期日にも競落する者はいないであろうからこれを見送り、年があけてからの競売期日に競落したほうがよい旨を勧め、原告の第二回競売期日に競落したいので一緒に競売場に行つてほしい旨の要請に対しても用事があつて行けないから行きたければ原告一人で行きなさいと返事をし、そのため原告は第二回競売期日にも競売場に出頭しなかつたところ、右期日に東洋商事が本件建物を競落したこと((第二回競売期日に東洋商事が本件建物を競落したことは当事者間に争がない。)が認められ〈る。〉

右事実によると、被告らは、前記特約に基づく競落に協力すべき義務を誠実に履行したものということはできない。

(二)  しかしながら、本件契約は、前記一認定のように、原告が本件建物を競落することができなくなつたことを解除条件とする本件建物及びその敷地である本件土地の賃借権についての売買契約と原告が本件建物を競落することができなくなつたことを停止条件とし右契約の日から期間三年間とする本件建物の賃貸借契約の複合したものであり、右のような本件契約の趣旨に照らすと、原告としては、結果的に競落によつて本件建物の所有権を確保することができない場合には短期賃借権の取得をもつてこれに代えることを承諾していたものというべきであるから、原告は、競落によつて本件建物の所有権を確保することができなかつた場合でも、それを理由としては、被告岡田に対し本件契約全部を解除しあるいは被告らに損害賠償を請求することはしない旨を被告らとの間で合意していたものと解するのが相当である。したがつて、被告らの前記義務不履行により本件建物を競落することができずその所有権を確保することができなかつたことを理由として、被告岡田に対し本件契約を解除して売買代金二〇〇万円の返還を請求しあるいは被告らに対し損害賠償を請求することはできないものというべきである。(のみならず、仮に、被告らが誠実に競落に協力すべき義務の履行として、第二回競売期日に本件建物を競落するよう原告に助言し、かつ、競売場に同行して競買の申出をしていたとしても、右期日において東洋商事が競買の申出をし本件建物を競落している事実及び後記2の(二)認定のように原告は最低競売価額以上の金額を調達するのに難渋している事実に照らすと、原告が確実にこれを競落することができたかどうかは疑問であつて、被告らの前記義務の不履行と本件建物の所有権を確保することができなかつたことの間には相当因果関係を欠くものと解するのが相当であり、被告らの前記義務の不履行を理由として損害賠償を請求し、また契約の目的を達することができなかつたとして本件契約を解除することはできないものというべきである。)。

2  〈証拠〉によれば、東洋商事は、右競落直後から、原告に対し、本件土地及び建物を一四八〇万円で買い取るか買い取らなければ直ちに本件建物を明け渡すよう強硬に申し入れたので、原告は、被告鎌田に対し、再三東洋商事と交渉してくれるよう要請したが、被告らはなんら交渉の衝にあたろうとしなかつたことが認められる。

(二) ところで、前記認定のように本件建物については前所有者の被告岡田と原告との間で短期賃貸借契約が締結され、その旨の登記もされており更に原告は建物の引渡しを受けていたものであるから、右原告の賃借権は法律上は競落人である東洋商事に対抗することができるものであつたと考えられること及び被告らは不動産業者であり(被告岡田も当時不動産業者であつたことは〈証拠〉から認められるところである。)不動産の明渡しをめぐる交渉には馴れていたものと推認されることを考えあわせると、被告らが東洋商事と誠実に交渉していれば、原告があらためて本件建物を買い取らなくとも原告は少なくとも短期賃貸借の存続期間は本件建物に引き続き居住することが可能であつたものと解するのが相当である。この見地からみると、被告らは、前記特約に基づく競落人に対する対抗措置をとるべき義務を完全には履行しなかつたものというべきである(なお、被告岡田に対しては原告から直接の要請があつたと認めるに足りる証拠はないが、被告岡田と被告鎌田の右義務は前記のように連帯債務と解すべきであるから、被告岡田に対し直接要請がなかつたことをもつて同被告が義務の履行を免れるものと解することはできない。)。

(三) 〈証拠〉によると、原告は、被告らが東洋商事となんら交渉をしてくれないため、東洋商事の強要によりやむなく昭和五五年三月二四日、本件土地及び建物を東洋商事から代金一四八〇万円で買い受けざるをえなくなつた(そのうち一二三〇万円については訴外川崎農業協同組合新城支店からの借入金八八〇万円及び手持金三五〇万円によつて支払つたが、残金二五〇万円については、支払いの目途が立たなかつたので、これを月六分の利息で借り受けたこととして東洋商事との間で準消費貸借契約を締結し、その担保として抵当権設定及び停止条件付賃貸借契約を締結しその旨の登記を経た。)。更に、その後、原告は、東洋商事に対する高利を支払う余裕がないので、同年四月七日、訴外有限会社山脇商事に対し本件土地及び建物を一四九〇万円で売却し、その代金の一部を東洋商事に支払つて抵当権設定登記及び停止条件付賃借権設定仮登記の抹消を受け、同年四月下旬本件建物から立ち退かざるをえなくなつたことが認められる。

右事実によると、原告が本件建物を東洋商事から買い受けその所有者となつたことにより東洋商事が競落により被告岡田より承継したことになる原告の賃借権は消滅するに至つたものと解されるし、また、原告が本件建物から立ち退いたことにより本件建物を使用することができなくなつたものと認められるが、右の原告が右賃借権を喪失したこと及び本件建物を使用することができなくなつたことは、被告らの前記義務の不履行に基因するものというべきである。

したがつて、被告らは、原告が被告らの前記債務不履行に基づいて賃借権を喪失しまた本件建物の使用ができなくなつたことによつて生じた損害を賠償すべき義務がある。

3  もつとも、原告は、被告岡田に対しては、本件売買契約の代金として被告岡田に交付した金二〇〇万円について、前記被告岡田の債務不履行を理由として本件訴状をもつて本件売買契約の解除の意思表示をし、その原状回復としてこれを請求している。

ところで、本件契約中、本件売買契約については、原告が本件建物を競落することができなくなつたことにより原告の解除の意思表示をまつまでもなく当然解除になつたものと解すべきことは前記本件契約の内容に照らし明らかであるが、それと同時に本件建物についての賃貸借契約の効力が発生し、売買代金はその家賃に充当されることになつたものと解されるのであるから、本件売買契約が解除されたことを理由として売買代金の返還を請求することは許されないものというべきである。また、右請求を本件建物賃貸借契約の解除を理由とする前払賃料の返還請求であると解しても、本件建物賃貸借契約は本件建物の競落により東洋商事に承継され被告岡田は貸主としての地位を失つたものと解されるばかりでなく、原告が本件建物を東洋商事から売買により取得したことにより賃借権は消滅したものと解されるのであるから、その後において右賃貸借契約の解除をすることは許されないものと解すべきであり、したがつて、右賃貸借契約の解除を理由とする前払賃料の返還請求も許されないものというべきである。しかし、契約の解除に基づく原状回復の本質は不当利得の返還と解すべきであり原告の前記請求は、結局、本件契約の失効を理由として被告岡田が不当に利得している売買代金相当額の金員の返還を求めようとするものであると解されるから、右請求中には、原告が東洋商事より本件建物を取得したことにより本件建物賃貸借契約が消滅し被告岡田が不当に利得することとなつた前払家賃相当額の金員の返還請求を含むものと解するのが相当である。

そして、被告岡田は、原告が被告岡田に本件売買契約の売買代金として交付しその後本件建物賃貸借契約に基づく三年分の家賃の前払に充当されるに至つた金員のうち、原告が本件建物を買い受けたことにより本件建物の賃借権が消滅するに至つた昭和五五年三月二四日から本件建物賃貸借契約の本来の期間満了の日である昭和五六年一一月六日までの一九か月一四日分の家賃相当額一〇八万一四八一円を不当に利得しているものというべきである。

三損害について

1  売買代金相当額

本件売買契約の売買代金二〇〇万円については本件建物賃貸借契約の前払家賃に充当されるに至つたものと解すべきであることは既に述べたとおりである。原告の右売買代金相当額の損害を被つた旨の主張は右家賃に充当された金員相当の損害を被つた旨を主張する趣旨と解されるところ、被告鎌田の債務不履行に基因して本件建物の賃借権が消滅したことにより原告は、昭和五五年三月二四日から同五六年一一月六日までの一九か月一四日の家賃相当一〇八万一四八一円の不要な支出を強いられたことになり、右同額の損害を被つたものというべきである。

2  登記費用及び仲介手数料

(一)  登記費用中金六万円は、〈証拠〉によれば、本件契約に基づき原告が本件建物を競落しやすいようにしまた原告の本件建物の賃借権を保全するため原告の承諾のもとに行われた原告の賃借権設定仮登記、被告鎌田名義の抵当権移転登記及び停止条件付賃借権仮登記の手続をするために支払われた費用であつたと認められるが、これらの費用は、被告らの本件特約に基づく義務のうち一部履行されたものによつて生じたのであり、被告らの前記義務の不履行の有無にかかわらず原告としては支出をしなければならない費用であつたというべきものであるから、被告らの前記義務不履行との間に相当因果関係を欠くものと解すべきである。

また、登記費用中七五〇〇円は、〈証拠〉によれば、東洋商事より原告が本件土地及び建物を買いうけるについて東洋商事から代金残債務金二五〇万円について準消費貸借契約を締結した際設定した抵当権設定登記及び停止条件付賃借権設定仮登記の抹消登記手続をするための費用であつたと認められ、右費用の支出は被告らの義務不履行がなければ生じなかつた費用というべきであるから、被告の義務不履行に基因する損害と認めるべきである。

(二)  原告が本件売買契約の仲介料として訴外朝日宅建株式会社に対し金一〇万円を支払つたことは、前記認定のとおりであるが、右仲介料は、本件契約成立の仲介の報酬として支払われたものと解される。したがつて、右契約が一旦成立した以上その後の被告らの前記義務不履行があつたからといつてその支払いを免れうる性質のものではないというべきであるから、被告らの前記義務不履行に基因する損害になるものとはいえない。

3  修理費用

〈証拠〉によれば、原告は本件建物に所有権又は賃借権により居住することができるものと考えて、本件建物及び庭の修理費用として合計一八万九三〇〇円を支出したことが認められる。ところで、原告は少なくとも昭和五三年一一月七日から同五六年一一月六日までの三年間は本件建物を当然利用することができたものというべきであるが、昭和五三年一一月七日から原告が本件建物を退去した同五五年四月末日までの約一年六か月は現実に本件建物を使用することができたのであるから、右支出金額の半額はすでに償却することができたものと解するのが相当であり、したがつて、残りの半額九万四六五〇円をもつて被告らの義務不履行に基因して不要な支出をさせられたことに帰した損害と認めるのが相当である。

四被告らの義務

1 被告岡田は、原告に対し、前記二の3による不当利得金一〇八万一四八一円並びに三の2の(一)の損害金七五〇〇円及び三の3の損害金九万四六五〇円の合計一一八万三六三一円を支払う義務がある。

2 被告鎌田は、原告に対し、前記三の1の損害金一〇八万一四八一円、同2の(一)の損害金七五〇〇円及び三の3の損害金九万四六五〇円の合計一一八万三六三一円を支払う義務がある。

3  右被告岡田の義務と被告鎌田の義務は、その性質上不真正連帯債務であると解すべきである。

五結論

よつて、原告の請求は、被告らに対し、各自金一一八万三六三一円及びこれに対する催告の日ののちである昭和五五年七月八日から支払いずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるのでその部分に限りこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(越山安久)

物件目録〈省略〉

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